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2008年7月13日 (日)

中途原稿さらし改め、本文抜粋

※ いちおう筆を置いたので、完成版と置き換えてちょっと追加しておきます。いずれサンプルページ作らねば。(7月20日)

猫目、猫目と騒いでいるのにちっとも登場する文章をあげてないなと思いまして。てかこれも出てきただけですが。

「カンナ花咲く園」 「サヨナラ、子ども時代」と対になる話。なぜ遊佐声キャラはイタイケな子の背後にぬうっと現れるのか。

 雲が薄い。空の青色もビー玉みたいに透き通っている。油絵の具をチューブから絞り、そのままを塗りつけたくっきりとした色合いの夏が過ぎて、透明な空気が周りを包んでいる。

 10月のある日曜日、ぼく原川研一はひとりでベンチに座って花を眺めていた。大黒市営植物園の中庭。ここにいることはだれにも告げていない。あるひとへメッセージを送った以外は。

 《メガネ》のウィンドウを立ちあげて掲示板にアクセスする。

題名:お釈迦様はまだ血を流しています 名前:k-1 投稿日:20XX年10月X日 ㈰ 1307

もうすぐお釈迦様の血から咲いた花が見られなくなります。

このままずっと見ないつもりですか?

 ぼくが書きこんだメッセージにレスはついていなかった。

 ここにぼくからのメッセージがあることに相手が気づいているのか?

 気づいたとしても意味を理解してもらえるのか?

 それさえもわからない。一方的に暗号めいたことばを置いているだけだ。

 ここで待つのは今日で最後にしよう。日が暮れたらあきらめる。

 この花の季節が終わるまで。そう決めていた。

「もうこの花の季節もおしまいだね。花びらにも色にも力がない」

 背後からした声に、身体がビクッと震えた。雷に打たれたような衝撃が背中に走った。

 やっと…やっと現れた。

 聞きまちがいなんかじゃない。ずっと待っていたひとの声だ。

 ふり返るのが怖い。顔をたしかめるのが怖い。

 ぼくはぎゅっとこぶしを握りしめて、首をねじり、うしろを見あげた。

 ああ。予測が当たったことを喜ぶぼくと、悲しむぼくがいた。

「やっぱり…あなたが猫目宗助さんだったんですね?」

「隣、空いてる?」

 そのひとはバスの空席にすべりこむのと同じ軽やかな調子でぼくに訊ね、ぼくの座っているベンチに腰かけた。

 ぼくは《メガネ》の電源を切った。

 だれにもじゃまされたくないし、そうしないとこのひとがすぐに逃げてしまう気がした。

 でも、なにから話したらいいのだろう?

 胸の中は話したいことでぱんぱんになって苦しい。なのに、どのことばも喉から出ることをとまどってうろうろしている。

 ぼくはベンチの前に咲く赤い花に目を凝らしてさいしょのことばを捜した。

「カンナ」

 ドキリとした。こころの芯を貫いていることばを言い当てられて、胸の中は一瞬で縮こまった。その話をするためにここを選んだというのに。

「この花が咲かなくなると、暑さがもどることはないと感じる。南国の花だからね」

「詳しいんですね。花にまで」

「母が長患いをしていてね。病室に花を持って行くうちに自然に覚えた」

 こんなふうに理知的で穏やかな話しかたをするひとだった。

 ほんとうにこのひとが天沢勇子を操ってイマーゴの子どもたちを意識不明にさせようとしたのだろうか?

他作品のネコハラものとは連動していません。ごくごく忠実にアニメ版にしたがって、交差点以来いちども接触していないネコハラです。ひとりで犯罪者に会おうとするなんてハラケンは悪い子です。だもんで猫目にお仕置きされます。嘘です。嘘というのが嘘です。どっちですか?健全作品と連作なのでヤバシーンは書けません。ヤバ展開は別に書きたいです。それが書きたくてWEB録の書き下ろしをガンガン進めています。とか言ってそれしか出ないのかも知れません。

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コメント

カンナってわたしが考えているよりマイナーな花なんですかね。
ちょっと捜すと案外近くに咲いていたりするのですが。

投稿: ラン子 | 2008年8月 2日 (土) 11時58分

花の説明がないと、これもハスの花かと思い込みかねなかったですw

投稿: 灰原達之(贋) | 2008年7月23日 (水) 20時12分

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