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2008年10月

2008年10月27日 (月)

まきまき8の新刊についてのお知らせ

 9月の記事でこれまでの総集編を健全と18禁とに分けて2冊出す予定と書きましたが、2冊同時は難しくなりました。18禁の総集編1冊のみになります。タイトル他まだ未定ですが、B5版フルカラー表紙、60P前後になりそうです。

Aosousyuhen6  予想よりP数が多くなりまして…。今回レイアウトに凝って、本文Pの天地に飾り罫を入れた関係で、フォトショップでPごとにテキストを張り込む作業が必要になりました。となるとP数に比例して直しの時間もかかります。(いいかげんアナログ→デジタル移行のドツボから抜け出たいです。いつになったら慣れるのか…。)

 9月の新刊「もう一人の僕」を待ってらっしゃる方にはすみません。作品の構成上、手がつけやすかったのが18禁本でした。あれは2作目から三部作を意識して書いておりましたので。発行年月の順から行くとこちらの作品群のほうが古くもあります。

 その上「ユメノトビラ」のテキストデータを消去してしまったらしく、新たに打ち直す羽目に陥っています。幸いにして絵本形式でテキスト量が少ないので、遅れはそれほどでもないのですが。このミスがなくとも2冊分のテキストを1Pずつ貼りこむ余裕はなかったでしょう。

 いつものように〆切から逆算してできないことを切っていく方法なら、書き下ろしナシで2冊同時入稿も可能かもしれません。しかし、このごろあまりに急ぎすぎで、9月の蒼オンリー原稿を見直したら本文中にあるまじきミスを発見してひどく落ち込みました。(すでに読まれた方はああ、あそこだなとお思いでしょう)。 またそういうやり方で走り抜けると絶対に何かをとりこぼすので、少し丁寧に手を入れて綺麗な本にしたいと思います。

 それでもスケジュールに余裕があるとは言い難い進捗状況です。たとえ絵1枚でも書き下ろしを入れるようにしますので…(1枚のほうがひどいのかしら?)

 健全本は既出本文だけで60P超過で、内容もバラエティに富んでおり、元本が袋とじだった原稿などどう編集していいやら、仮台割表を見て手をこまねいています。

 現状報告でした。

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2008年10月23日 (木)

サヨナラの系譜

「~お客様各位~ / ご愛顧頂きました「●●●●」ですが残念ながら20年10月31日(金)をもちまして閉店させて頂きます。」閉店張り紙キタ―――――――!!レトルト1割引きセールやってたァァァ―――!! ちっとも嬉しくneeeee!!

越して来てからの約11年間で同じ土地のスーパーが5回閉店するって……。

スーパー以外で、この11年間で閉店した店舗をできるかぎり思い出してみた。(順不同、個人店舗抜き)

  • セブンイレブン
  • ケンタッキー
  • マクドナルド
  • マロンド(関東展開のパン屋チェーン)
  • 京樽
  • ヒットショップ(これはもう会社自体なくなっているが)
  • シノヤ(千葉ローカルなユニクロ。倒産)
  • エネオス (だったと思う。とにかくGS)

この歴史に新たにファミマが加わるわけね…。ああ涙で画面が……。

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2008年10月22日 (水)

閉店ラッシュ

 入稿明けの15日朝、回線を少しでも太くするために夜中にデータ送信をしていたせい(ウソ、ギリまで書いてた)で寝不足頭のまま門扉を出るわたしに、濡れ縁でモーニング蛍族をしていたコーラが「ファミマ今月末で閉店だって…」とリーマンショックの数倍の破壊力を持つニュースを報せてくれた。しばし呆然。

 後日、某所で聞き及んだ情報によれば、昨年最寄駅が橋上化して出口が線路の両方に開けたせいで、それまでそのファミマの前の道を迂回しなければ通勤・帰宅ができなかった駅向こうの人たちの流れが変わってしまったのが原因らしい。

 そのファミリーマートは、わたしが嫁いできた時からあった唯一の24時間経営ストアで、生鮮食品も置いてあり、イベント前深夜もしくは朝にはコピー印刷に使い、宅急便の受付窓口があり、江川家の最終防衛地点だった。11月以降の不便を考えると途方にくれる。

 しかし、ショックは1店舗には収まらなかった。今年2月に撤退したTQストアの後、4月ごろにオープンしたスーパーの品揃えが、ここ1月ほどで目に見えて悪くなってきていたのだ。買い物に行くたびに棚の空きスペースが増えていく。そのうち棚自体が減ってくる。それらの状況を見るにつけ、悪い予感はひとつずつ確信への階段を上ってゆく。

 そして昨日。米が切れそうなので件のスーパーへ。このごろでは「閉店のお知らせ」の張り紙が入り口、店内に張り出されていないかを真っ先にチェックするのが習慣となっている。見当たらない。が…。生鮮食品以外、明らかに棚に追加をしていない。買えるものとて少なく、さっさとレジで会計を済ませ、買い物袋不要時に見せるスタンプカードを提示したら、レジ係の若い女の子が、「このサービスは昨日で終了しました」と告げてくれる。ああ、またひとつ階段を…。いやなことはいつもすり足、忍び足で迫ってくるのだ。

 気を重くしながら荷物をまとめて出口へ。すると出入り口のガラス戸に先刻は気づかなかった小さな張り紙が。「…スタンプカードサービスは都合により20日(月)を持ちまして終了いたしました。今後はスタンプ1点=10円として交換いたします。交換期間は10月21日~31日までです」

 10 月 31 日 閉 店 ?

 なに簡単な推理だよ、ワトソン君…。って推理するまでもねえ!

 早いよ、まだ来て半年だよ、せめて1年がんばってくれよ、こっちだってがんばって通ったじゃん、なんでみんないなくなるの?ああまるで日本の首相のよう…。スーパーとコンビニがいっぺんになくなるってどんだけ過疎地?ちょっと歩くと県庁氏所在地なんだけど?てかそのスーパーもコンビニも住所は県庁所在地なんだけど?

 いまのところ、閉店セールのチラシは入っていないが、これからどうやって暮らしていけばいいのやら…。

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2008年10月19日 (日)

MM10 レポ

 お越しいただいた方々、ありがとうございました。ここでしかお会いできない、お話できない方との交流は貴重です。時々受け答えがうろんだったのは、実は数日前から喉がおかしくて、タンがからみ気味だったせいです。

 それと数点スケブ依頼を頂いてアワアワしました。コナンは守備範囲でしたが、わたしが蘭ねーちゃん描いて…本当によろしかったんでしょうか?さらにまさかのコナン会場で猫目宗助(笑)。

 でも、絵描き依頼はとても嬉しかったのです。ここ半年ぐらい絵については落ち込むことが何度かあって、描く気力が保てなかったのですが、描いてみると楽しいです。

 今回、なんか準備が楽だと思ったら、コピー本・ペーパーの制作がなかったからでした。前日(否、当日突入)作業がなかったイベント参加って初めてな気がします。こんなにちゃんと寝て参加したイベントも(ヲイ)。それでも挿絵ナシはさすがに申し訳なくて、密室の見取り図だけはプリントして挟みました。

 本の出来は…アナログ入稿よりデータで入れる方が字が薄くなるとは……ルビ…読めなくても大勢に影響はないけど…。ちと読みにくくてすみません。

 蛇足ながら、今回合体先の犬テレビさんの新刊と表紙イメージと話のオチが少々似通っているのは、まったくの偶然であります。ネタ合わせ、原稿途中での相談など一切しておりませんのです。プラグスーツなしでエヴァに乗れそうなシンクロ率ですが。いちばんビックリしているのは当の筆者同士です。(ちなみに大熊猫さんとは前日に遊び倒した、楽しかった)

 コナン同人としては、昨年辞めます騒ぎを起こして、現在みっともない居残り状態です。黒と影社作品の方針として、原作時間を超さないというのがあり、今回10年後を書くということで区切りとする予定だったのですが、未解決事件を残したまま終わるというのもどうかと思うので、背景に使った(捏造した)「杯戸パイパー事件」はどこかで発表したいと思います。ただ、最低でも半年以上は先になると思います。それでもいいという方は待っていてください。

 名残を惜しむ間もなく次の原稿です。年内ずっとこんな調子です。人形とすら遊んでいないです。

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2008年10月15日 (水)

コナンオンリーMM10 頒布物ご案内

コナンオンリーMM10 10月19日開催。東京卸商センター3F スペース№43(俄仕立さんと合体です)

Rurihyousi新刊「瑠璃の彼方」 A5フルカラー表紙60P。ミステリーシリーズ第5弾、全年齢向。挿絵ナシ。頒布予価未定(500円前後)。

黒の組織壊滅後、10年後の設定。自宅に探偵事務所を構える工藤新一、帝丹高校に通いながら助手となった円谷光彦。新一が事務所を空けている間に届いた1通の差出人依頼メールに、妙に熱を入れる光彦。光彦に引っ張り出される形で赴いた先で待っていたのは、女子高生密室消失事件だった…。

それぞれの10年後と新たな事件。(気になるあの人の10年後は最後にならないとわからな…)

今回急遽アナログからデータ入稿に切り替えたので、表紙の紙がいつもと変わってます。(ちょっとペラい)中表紙はなんとか絵を入れたのですが、本文はテキストだけで台割が収まってしまったら、気力が萎えて入りませんでした。

ミステリーのレベルは例年の水準を割っていないと思います。よろしくお願いします。

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2008年10月10日 (金)

MPCもしくはCPC

 Mobile Phone Computer もしくは Cellular Phone Computer。

 とでも呼べばいいのか。現在から10年後の未来なんてとても書けないので、ちょっとだけ未来っぽい小道具を。携帯電話、テレビ電波受信、写真、動画、電子マネー(チャージとクレジット両用)の機能を備え、高速通信から各公共機関の乗り降り買い物とオールマイティな機体の保有率が人口に対してほぼ1:1の世界ということにしてみた。

 リアルワールドでは他メーカー・電話会社との互換性の面を除けばほぼそれらをカバーする機種は登場しているから、もはや昨日なのかも知れない。

 イメージしたのは「電脳メガネ」ではなくて、「カウボーイビバップ」でビバップたちが持っていたクレジット機能付きの血圧測定器みたいな通信機。(放送当時に考えられていた未来アイテムにすでに時代が追いつきつつあるということか)

 だからと言って、その高速通信世界でとんでもないネット犯罪が起きるとか、電脳生命体が棲みつくとかそんな攻殻なお話は全然展開しない。せいぜいこんなもん(下記)。コナンだからね。

 あ、なんか一生懸命考えたのがバカらしくなってきた…。

 何を悩んでいるかというと呼称と表記。些末…。

 いまのところモバイルPCと書いていて、女子高生になった歩美はモバッピと略してみたり。何かいい表記はないものか。

 歩美はクローゼットの中に置いてある3段組みのチェストの引き出しを全て開けて中を確かめた。

「下着も靴下もごそっと抜けた痕はないです。何日か分をまとめて持ち出したりはしていないんじゃないかな」

 1着の紛失もないかどうか厳密に調べたいところだか、あの兄に尋ねても歩美以上にはかばかしい答えは期待できないだろう。

「つまり計画的な家出の線は考えにくい。けどさ、歩美ちゃん。そのクローゼットには絶対になくちゃいけないものが一組ないよね?」

「絶対になくちゃいけない服?」

 光彦が間抜けな声を出している横で、新一の問わんとしていることを理解した顔で歩美は大きくうなずいた。

「百里(ももさと)高校の制服」

「そう。キミが着ているのと同じちょっと変わった制服だ」

「でも鞄はありますよ」

「そこだよ、光彦。麻美さんがこの部屋に帰って来たとする。お前たち学生が帰宅して必ずすることはなんだ?」

「え?まず手を洗ってうがいして……あ!制服を脱いで着替えます」

「だが、ここに制服は残っていない。となると考えられる可能性は?」

「もう一回制服のまま出て行ったことになります」

「理由は?」

 光彦たちの洞察力を試すかのように新一は自身の推理を先には語らずに問いを重ねていく。

「帰ってすぐにだれかに呼び出されたとか」

「モバイルPCを置きっ放しで会いに行くのか?」

「コンビニでし忘れた買い物を思い出したとか」

「電子マネー機能も備えたこいつを持たずにどうやって買い物する?小銭入れだって鞄に残ったまんまだ」

「歩美には想像できないなあ。制服着たまま、モバッピも持たずに行く場所なんて」

「普通はそうだ。何はなくともモバイルPCだけは持って出る」

 三種の神器どころか、唯一のご神体もしくは相棒なのだから。

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2008年10月 4日 (土)

チャート式推理小説組み立て術

むろん、そんな写真撮ってる場合じゃないし、いまこんなことをやっていていいわけないよ、スケジュール。逃避するエネルギーってすさまじい。そのエネルギーでやれってば。

Puzzle 先日アップした制作ノートはある程度まとまった思考ルートができている時に書き連ねるもので、構成・展開が袋小路に入るといったん全ての要素をバラしたメモを書き散らかす。メモの色が違っているのには意味はない。途中で切った紙がなくなっただけ。

ノートに書いてしまうと話の順番やエピソードを入れ替えるたびに書き直さなければならないので、あーでもない、こーでもないとやる時は最小単位にして動かすほうが楽。一言だったり、ワンセンテンスだったり、さまざま。

同じグループを同じところに持っていって、欠けている要素はまた書き足す。そぐわないのは捨てる。グループが固まると、こんどはその展開を組み直す。きれいにならなければまたバラす。

一番大事なのが余計な可能性の消去。一つの真実に落とすために。伏線なんてものは終点から逆算して撒いておくものなので、どこで投入しなければならないのかが見えてくる。

頭の中でやっているとどうしても視点が近視眼的になりすぎるので、時々椅子から立ち上がって全体を眺めもする。

整理が終われば机上には美しいロジックのチャート図が出来あがる…ハズ。

余談だが、NHK特集で「精霊の守り人」のスタッフ陣も脚本会議で似たようなことをやっていて嬉しくなった。つまりは有効な手段だということだってね。学校の勉強なんて役に立たないなんてエバル人が居るけど、それは役に立てられてないだけじゃないかと思う。こうやってチャート式で分解するとストーリー構成をするのにとても有効だし、方程式みたいなものだもの、推理小説は。

なんてもう、1日かかってやって、結局初案と大差が出ないわ、問題点も埋め切れていないわ…。

どうなるんだろう。

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2008年10月 2日 (木)

恋愛小説モドキ

 半端モンばっかり晒してどうなる。前に光彦と新一なら灰原なき灰原小説が成立すると触れたことがあった。「瑠璃の彼方」の原型はそれ。このまま恋愛小説に展開させてしまったほうが楽かもなあ…。できればだけど。

 ボツにはしないと思う。

 仮眠から目覚めると冬陽は赤く傾いていた。二階の寝室から降りていくと、事務室から電灯の光とコーヒーの香りが仄暗い廊下にはみ出していた。

「まだ居たのか?」

 光彦は、暖を取るように両手でマグカップを包み、窓の外を眺めていた。

「新一さん、もう起きたんですか?ファイル整理が一段落したので、一服して帰ろうとしていたところです」

「もう1杯分、残ってるか?」

「ありますよ」

 さっと立ち上がって、まだ淹れたての風味漂うコーヒーを運んでくる。

「どうぞ」

「目覚めの1杯はやっぱモーニングコーヒーって言うのか?」

「もう夕方ですよ」

 冗談の通じにくい性格の助手はニコリともせずにボスの軽口をかわし、自分のカップを口に運んだ。静かにコーヒーを味わいながら、光彦の視線はまた窓の外へと流れていく。

 窓枠の中で、円筒形の建物の白壁に熟柿色の光が美しく映えていた。ここではないどこかに心を遊離させている遠い目が切なげに見えるのは夕陽に彩られてのことではない。

「帰りに寄って行ったらどうだ?」

「え?」

 ぱっと向き直った表情は、考え事をしていたら急に声をかけられ驚いたのをおどけて誤魔化してみせた、という形を作りこんでいた。

「博士んとこ」

「僕が一人で行っても仕方ないですよ。優一郎君といっしょじゃないと」

「そんなことねーだろ?」

「新一さんこそ、たまには行ってあげたらどうです?博士、しょちゅうこぼしてますよ。お隣なのにちっとも顔を見せないって」

 やべえ、とんだ藪蛇だ。

「あーいや。なら、今度蘭と優一郎とで…」

「優一郎君て、小さいころの新一さんに似てるんですか?」

「周りはそっくりだって口を揃えて言うけどな」

「僕は、優一郎君を見ていると思い出します。僕の同級生だったコナン君のこと。血縁は遠いのにあんなに似てるなんて」

「そ、そうか?」

 2匹目の藪蛇。脇の下がジトリと冷たくなる。

 血は遠くなどない。優一郎は江戸川コナンの息子でもあるのだから。いまさらながらに、コナンと名づけなくて良かったと胸をなでおろす。

「ああ、えーと…。そういえば、他の友だちはどうしてるんだ?探偵団やってた…」

おいおい、3匹目を呼ぶ気か?

 当然次に聞かれるだろうコナンの消息から話題を逸らそうとしてドツボにはまる。

「歩美ちゃんと元太君ですか?」

 が、光彦の顔は妙に渋くなった。

「さあ…?別々の高校に行ってからはあまり…」

「そうなのか?」

 意外な答えに素でキョトンとした。あんなに仲が良かったのにとは口にできない。

「生まれてからずっといっしょにいた蘭さんと結婚した新一さんにはわからないかも知れませんね。進路が違ってしまえばそんなものですよ。ずっと変わらずにいられる関係なんて…」

 心の動きが無意識に表れたのだろう。光彦の視線は窓の外へと吸い寄せられる。

 光彦、お前はまだ…。

「じゃあ、これで失礼します」

 中味を飲み終えたカップ2客を取って、廊下に向かった光彦が振り返った。

「あ、そうだ。これは単なる噂なんですけど」

「なんだ?」

「最近また杯戸パイパーが出現したみたいです」

「へっ」

 新一は鼻で笑った。

「ったく、その手の都市伝説はこっちが忘れたころに蘇ってきやがる。まるでゾンビだな」

「過去の亡霊ですか?」

「そんなに因果を求めるなよ。それとも元少年探偵団としては気になるか?」

「ええ、まあ…でも、ただの噂ですから」

 光彦はあいまいに笑って引っこんだ。

 光彦が去ってから、新一はあえて追わなかった光彦の視線の先を追尾した。

 この窓から見えるのは隣家の阿笠邸。あいつがここに座って窓の外をじっと眺めているのは今日に始まったことじゃない。

 新一はとっくに視線の意味に気づいている。気づいていながら、どうしてやることもできないでいる。

 光彦が自分のところに飛びこんで来たのは、よく知った場所に住んでいるコナンの親戚で、探偵を志すに当たっての伝手がたどりやすかったからだと思っていた。

 けれども、光彦の本当の目的は…。

 光彦はまだ忘れてなんかいねーんだ。あのころの淡い恋心を。

 忘れるどころか、ずっと募らせているんだぜ?

 なあ、どうするよ?

 ――灰原哀――。

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