« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »

2008年12月

2008年12月30日 (火)

冬コミレポ

年を越す前に。

1日目 風邪が長引いていたのでお休み。掃除でもすればいいのに何やってたんだっけ…?チラシ作ったりとか?1日あっても翌日の委託の準備で日付変更線を越す要領の悪さ。

2日目 俄仕立(犬テレビ)さまのスペースで売り子。朝一で買い物に出させてもらって、11時前に帰ってきたらもうスケブとお客さんの対応で大熊猫さんがわたわたに。以後は売り子にほぼ専念。今回は特にはけが良くて、12時ごろには新刊完売、その他灰原既刊も相次いで完売。おかげさまでこちらの委託分もなくなった。お客さんが途切れないと売り子も楽しい。2時過ぎからはスペースが空いたからと、他人さまのスペースも憚らず、わたしが連れて来ていた猫目兄弟人形(違)を引っ張り出したものでプチ撮影会がwいやあ、知り合いに見られなくて良かったわぁ。

3日目 見本誌シールも見つかって、登録カードもおつりも既刊も忘れなかった。遅刻もしなかった。(当たり前)この日も朝一でドールスペースを回った他はほとんど居続け。お手伝いに来てくれていた大熊猫さんが買い物から戻って来た後にちょっとだけ休憩に出たらその間にコナン関係の委託本とウチの既刊がなくなっていてビックリした。タイミング悪くてすみません。で、今度は自分のスペースなのをいいことに、ごそごそ女子ドール2体を引っ張り出し、ドールスペースで買ったドール用の家具を使って展示。準備の間、荷物ははみ出すわ、こぼすわ…。お隣さま迷惑千万すみません。だが、人形を出したら通りすがりの人の視線が全部ドールに行ってしまい、だれも新刊のポップを見てくれなくなった。何しに来てるんだ?自分。でも、今回は西館であることを押していろいろな方にお寄りいただいて、差し入れもたくさんいただいて、ありがたや、ありがたや。つくづく直参のスペースがあるのは違うと感じ入った。

オリジナルの新刊は、どうも余白計算を勘違いしたらしく、ちょっと間抜けな行アキになっていました。印刷がいいだけに悔しいです。それと19ページに情けない錯誤が…。ありえない絵になってます。その部分(ハッキリ書けよ)、下絵ではしょっちゅう間違っていて、途中で修正するところなんですが、気づかずに入れちゃったのは初めてでした、たぶん。何度も確認したはずなのに。なんか落ち着きが悪いなあとは…。修正パッチの配布も恥ずかしいのでもう開き直ります。誤字訂正と違うから…。初めてのオリジナルだからと変に気負わないようにしていたつもりで、結局余裕がなくなってコレ。一度ぐらい完璧な本を作りたいなあ。

感想などいただけましたら喜びます。

| | コメント (0)

2008年12月26日 (金)

08年 今年の一文字

081word 一文字総括の3年目。冬コミ前に言っておきます。

今年はこれしかないでしょう。愛玩・玩弄の「玩」。あ、エロい意味では…。

前半はハラケンを愛玩しようとして玩弄され、後半はドールを愛玩しようとして玩弄され…。

ハラケンは江川のヲタライフ境界線を完膚なきまでに破壊してくれました。BL漫画なんて描いたことなかったし、アニメージュなんて買ったことなかったし…。今年は発刊冊数が少ない気がしていたのですが、コイル作品だけで10を越えておりました。力を入れ過ぎたのでしょう。書けば書くほど距離の取り方がわからなくなって、情熱が空回りしてゆくのが辛くもありました。イベント参加で初めて本を落とした上に、次のイベント出まで〆切の引き伸ばし…思い出すと苦いものがこみあげてきます。引き戻してくれたのは、蒼星石と灰原とクレスです。

そもそもなんでハラケンに似たドールを探してみようなどと考えたのか…?5月後半、スパコミ後・コミケ本格始動前という、燃え尽き症候群のような喪失感を埋めるのに、とにかくなんでもいいから退屈を紛らわせる調べ物がしたかったのではないでしょうか。暇だと意味のない調べ物をする癖があったのが運の尽きでした。

そして妄想《メガネ》を通じてハラケンに見えたのがBF社のルイスという少年人形。08年の後半は坂を転がるようというより、断崖から墜落していくごとくにドールのドツボにはまっていきました。タイミングとは恐ろしいもので、わたしがルイスの存在を知って1月と経たない間に、国内で初めての白肌シリーズの展示即売が催され、始発に乗って浜松町まで。その子一人で満足すると思いきや、うっかり同じルイスの普通肌まで。その後は歯止めが利かなくなって、原稿に詰まるたびに一人ずつ増えていきました。

振り返ってみるに、今年いちばんのエピソードは、同人イベント当日ならまだ原稿をやっている(ヲイ)早朝から会場に並んだことではなく、人形のボディ洗浄中、水道菅に流してしまった球体関節をサルベージするためにクラシアンを呼んだことです。直径8ミリのレジンキャスト玉一個のために8000円…。見つかって良かった。ほんとうはクラシアンでなくとも取り出せる場所に隠れていたんだけど、来て貰わなきゃそれもわからなかったし、危うくハラケンが一生片腕になるところだったし。もう、初めて真紅の発条が切れた時のジュンのように動揺しましたわ。

いい歳こいて今年も初めて尽くしの1年でございました。

| | コメント (0)

2008年12月22日 (月)

冬コミ新刊「幸福なダイヤ」

Daiyahyousi_5

新刊出ます。なんとか出しました。

エンピツコピック絵ですが久しぶりに挿絵も入りました。

どのドールとドールをモデルに下絵を起こしたかバレバレでんなあ。身長差がジャストで。お迎えして良かったよ。

下絵のドールっぽさがペン入れて消えて、代わりにわたしが絶対にキバシュウとは認めない人になんとなく似たことに、入稿10時間前に気づいて凹んだ。で、挿絵に描いたら一気に崩れた。オリキャラを安定させる練習もせなならん。クレスだって安定してない。

中途晒しを完全原稿版に差し替えようかと思いましたが、多少の表現とてにをはを変えただけなのでそのままにしておきます。

内容サンプルは12月1日の記事をご参照ください。

※12月30日訂正※

文章変わっていました。どう変えたかの比較のために置いておきます。

| | コメント (0)

2008年12月14日 (日)

あざとすぎず、パクリすぎず

Akaji1 粗書きを印刷して赤入れ中、どうしても展開が決まらない場面があって詰まり、赤字用細字の水性ボールペンでラクガキ。

この間お迎えした子に似てる?だからお迎えしたんだもん。元デザインは1年以上前だからパクったわけじゃないもん。

だんだんリアルクレス(犬)からイメージが離れていくのはどうなのか。

 

Akaji2

赤ぐちゃぐちゃ。赤がこのぐらい入るのはいつものこと。

コンビ二の名前とか、地名とか、学校名とか、ゲストキャラの名前とか、季節とか。

ぼちぼち確定してきた。

ありさえすればいい部分は仮で進めてストーリーの後から決定することも多い。が、決まらないとイメージがつかめなかったりで、逆に要領が悪かったのか。

究極A町、Bさんでいい。コナンの時はこの辺が裏パロディのお遊びだったが、妙に凝った名称にして通読の邪魔になるのは趣味でない。しかしモデルイメージが何もないのも書きにくいものだ。

たとえば場所設定。「踊る~」のように、リアルに存在する場所をキッチリ特定していくか、「相棒」のように、新宿などの大きな部分だけリアルにして特定を避けるか、のいずれかになる。キッチリ特定させる場合は密な取材が必要で…めんど……。

米花町みたいに探偵団が住んでいて四六時中事件が起きる架空都市を設定するわけではないので、読んでいる人が、なんとなくあの辺のイメージで書いているのだなあと思う程度にぼかしてあればいい。

今日の今日でこの進行って…。

| | コメント (0)

2008年12月11日 (木)

海向こうの少年

実は蒼星石以外は全員アッチ(海外)出身。

この記事、ドールのヌード画像(ヅラなしとかも)多目なのでそのつもりで。

10日にやって来た(ドールフルヌード画像)。頭小っちゃ!肌白!普通肌で充分だったよ!手足でか!腰もでか!

とりあえずデフォルト衣装をフルで着せてみる。相変わらずロング(ドール画像)が下手。足つきがちょっと可愛くなったのでボツにできなかった。アップ(ドール画像)。ショタっこですよ!目がでかい!よくこんな漫画みたいな顔つきに作れるものだ。

収まっているかに見えるウィッグだが…。帽子を外すとどうしようもなく長い(ドール画像)。鬼太郎?これでデフォってどうなん?サイズはこれで本当に合っているのか?色味は好きだからクレスモードに使いたいが…。また切るの…?失敗したらもう替えがないじゃん。

年末プレゼント企画でもらったオマケのウィッグ。タケルっぽくね?(ドール画像)ランダムなのに謀ったように黒髪おかっぱが当たった。

宗助と(ドール画像)。身長差、皆本と小学生チルドレンぐらいと予測していたが、そこまでではなかった。宗助のデフォメイク、ピンク色のチークとアイシャドウが違和感バリバリ。リメイクしないといかんかね。まだこの人もほとんど手がついていない。

ハラケンを交えてみる(ドール画像)。いろいろカオス。ハラケンのアイがグリーンだったりリストバンドしてなかったりする。比較で出しただけだから。それでもカスタムが加わってる子とデフォのままの子の差は歴然。

肌色と手の大きさ(ドール画像)。上がタケル(仮名)、左ハラケン、下宗助。身長ほどの差がない。

ボディ比較(ドールヌード画像)。ポコが見えるギリまで下げてみた。他の男子ボディと比べると一目瞭然、この子のボディ、完全に女の子だね。最初の写真の腰から太ももにかけてのラインなんて、美少女漫画家さんの描くショタっこみたいというか。最初から女装要員でお迎えしている人もいるぐらい。ぶっちゃけ同シリーズの女の子の身体にポコ付けただけなんでしょう。(お迎えする前から気づいてはいたけどね)…それってフタナリじゃ?リアル男性の目からは、こういう造型の子はどう認識されるのかしら。

尻(ドールヌード画像)。猫目兄弟とハラケンの漫画を描いた時にタケルのお尻だけどうししても丸っちくなってしまったのだが、まさにそんな感じだ。なんだって宗助は尻線がぐぐっと深いのか。でもエロいいライン…。ハラケンの尻肉の薄さ、似つかわしい気が。

さて満足したから、これからは原稿集中。これで落ちたらお笑い種だ。

| | コメント (0)

2008年12月 7日 (日)

長年いっしょに暮らしていても、いままで知らなかった相手の癖を発見する日もある

 下がかった話なので、そのつもりで。エロトークより遠慮気分が立つのはなぜだろう?

  我が家は一階のトイレが玄関脇、靴箱の壁の裏側にある。夕方、買い物から帰ってきたコーラの眼鏡が靴箱の上に置きっぱなしになっていた。「眼鏡置きっぱなしだよ」「ああ、トイレ入る時に外して忘れてた」「なんでトイレ入るのに眼鏡外すの?」「だってンコする時、眼鏡外すじゃん」「ハァ????外さないよ」「外すよ。かけたまんまできるわけないでしょ」わたしゃかけっぱなしだが。それに、小の時はかけたまんま入ってなかった?

 ふつうは外すものなのか?

| | コメント (2)

2008年12月 6日 (土)

なにやってんだろ…

 海外ドール会社がこぞって年末感謝祭。BF社の正式販売ディーラーでもある、ミノルワールドがオリジナル展開している、タケルっぽい子(ドールサイト:例によって妄想)と美白の子までもがまさかの2割引!ヤフオクで2度も落とせず、数カ月もサイト画像を眺めてはお迎えするかどうかためらっていたあの子たちが!急激なドル安で、通常価格でも2ヶ月前の1割引になるというのに、さらに2割引!!原稿に倦んだ脳を10回破壊してもあまりある衝撃。

 どうするよ?どうするってどうするの?どうするどうするどうする?

 どっちの子にしよう? 

 公式画像の、美白の子の吸引力ときたら…。大きなグレーの瞳。淡いメイク。でもでもこれこれかなり画像マジック入ってるんだ。女の子タイプの実物と比較したことあるからわかってるんだわかってるわかってるともでもでもでもでも…でもね、美白の子は綺麗でいられる時間が悲しいぐらい短いの。なのになんで白い肌ってだけでそんなにお値段あがんるんだ?儚さの値段?それにしても服が趣味じゃない。絶対着せない。なんでヌードで売ってくれないんだ?でもでもでもいまウチに美白の子が一人しかいなくて可哀想だよ(蒼星石も一人だぞ?)、白い兄弟とか良くね?浮世離れした兄貴と利発な弟設定良くね?けどけどけどけど宗助と組み合わせるなら普通肌の子が良くね?男の子は元気っ子が良くね?白肌なら女の子欲しくね?45センチと33センチの身長差はクレスと能代にも……。

 と、朝方4時までウチにいる美白ルイスと普通肌ルイス(ハラケン)、紫帆、宗助をとっかえひっかえ並べて煩悶懊悩。最後は日光の下でもう一度比較して結論を出すことにして、やっと寝た。人、それを先送りと言う。

 で、ようやく普通肌の子に決めた。美白の子をあきらめたってほうが正しいのかも。

 今朝レートを見たら1ドル=93円ぐらいだったから、もう決済した。カード決済額が今日のレート計算になるのかわからないけど。(サイトからの明細はウォン表記なんだが、結局どういうレートで請求されるのだろう?)

 その後、ひさしぶりに箱から出したので人形で遊んだ。なにやってんだもう…。

 先日発売と同時に瞬殺した王子服を美白ルイスに着せて、宗助には呼ぶ時にいっしょに頼んだ貴族服を着せた。

 王子と貴族の肖像画?(ドール画像) 背景に余計なものが写っていたので消したらその後加工の手が止まらなくなった。

 ちと危うげな…(ドール画像) 2枚目から加工ナシ。権力抗争に興味のない王子と野心家の貴族。悪貴族ってだいたいおかっぱだよね。革命で真っ先に……。

 キスは髪の毛に?それとも?(ドール画像) 続きはないよ。

 ああ、これが宗助のお披露目になっちゃったのか。正式なお披露目はちゃんと猫目スタイルでの予定。プレビューってことで。

 いやだから、なにやってんだろう…。

 

 

| | コメント (0)

2008年12月 4日 (木)

あんたバカァ?な話2題

その1

仕事で借りた本を図書館に返しに、途中下車した。ハードカバーの学術書なのでかなり重かった。返却を済ませて駅に戻ると接続が悪く、10分以上待たされる。時間潰しに駅前の古本屋に寄って返した本の倍以上を買ってしまった。やっと軽くなったのに。『流星の絆』『容疑者X』と都市伝説の本。都市伝説の本は失敗。ただの恐怖体験ネタだった。

その2

わたしがハラケン呼ばわりしているドールの製造元、BF社がシリーズの大幅リニューアルを期し、現シリーズを年内10%割引を実施すると言うので、全シリーズの実物が見られるコトブキヤに行った。が、結局ハラケンに仕立てているルイスばかり見惚れて帰ってきた。ウチにいるじゃん。でも自然と目が逝っちゃう。このシリーズは全員で1クラス構成というコンセプトらしいが、ホントね、一人だけぼーっとしてるのよ。よくこれだけ茫洋とした顔立ちの人形を作れるものだ。ふつう人形って目が合いすぎて怖いのに。それにしても気になるのは今後の展開。もしリニューアルでメイク変更やら廃盤になったらどうしようと思うと、もう一人ルイスを迎えそうで怖い。せめて違う子に…そのためにコトブ…いやそれはそれで…。

| | コメント (0)

2008年12月 1日 (月)

中途晒し

Dog まっぱ晒されたまんまも可哀想なので。なのにフレンチスリーブ。薄ら寒そう。子どもは風の子なんだい。

犬との縮尺おかしい。こいつレトリバーだから子どもと並んだらこの1.5倍はなくちゃいかんよ。

目が死んでいる。視線がないっつうの?うむ。ぶっつけで何とかなったりはしないものだったのだなあ。自分のラクガキ晒すよりイタイや…。

もう一つイタイもの晒し。オリジナルの中途原稿。12月に入っても導入部が粗書きってどういうことだ?中盤で引っかかって10日近くも頭が真っ白だった。うっすら恐怖さえ感じている。

 能代監物(のしろけんもつ)。あだ名はシロケン・カタブツ能代といくつかあって、好きに呼ばせている。祖父の名づけた時代劇くさい名前を笑う相手を伸していたのは中学校まで。身長191センチ、逆三角形に整った精悍な上背(本人はもっと下半身を強化したいと思っている)に、切れ長の一重瞼と真一文字に引き結んだ唇の仁王顔に育ってからは、ファーストインパクトだけで相手を制圧するのにも有効なこの名前に愛着がわいて来た。外見を裏切らず、身体を動かしているほうが頭も冴えてくるタイプの人間だが、身の回りがだらしないのは大嫌いでもある。

 ゆえに机に向かっての書類処理も苦にはならない。しかし、他人の仕事の片づけまで回されるのは適わない。すでに能代の整理能力の高さは先輩刑事たちの塾知するところとなり、やけに重宝がられていて、少しでも手が空いたと知ると嬉々として書類を寄越してくる。

 このまま椅子を暖め続ければ、あと1冊でも上乗せしたら倒壊しそうな戸坂班長の机からファイルがどどどどどと雪崩てくるであろう。

 何か席を立つ口実はないものか。かと言ってありもしない案件で外出してサボるのも性分に合わない。頭の端でとっかかりを探り始めたころに携帯電話が鳴った。

「はい、能代」

 画面に表示されたナンバーから相手は知れている。相手のナンバーも携帯電話で、自分が出ることは承知でかけてきている。それでも能代は有線の外線着信と同様に名乗る。

「千輪田です」

 送話マイクが最も拾い易い高音域の可愛らしい声の相手もまた律儀に名乗った。

「どうした?チワワ

「チワワじゃありません、千輪田ですっ」

 電話口で叫ぶ、変声期前の子どもの声が鼓膜にキンキン響く。小型犬に吠え立てられたぐらいでは能代の度胸は微動だに揺れない。

「何センチになった?」

「…139センチです」

「この間から伸びてないな」

「いっときには伸びません」

「ならチワワだ。オレの背を越したらちゃんと呼んでやる」

 ぷうとむくれたチワワの顔を想像して、能代はくく、と喉を鳴らした。

 このやりとりまでが彼とのお決まりの挨拶になりつつある。チワワ千輪田クレスは都内のおぼっちゃん学校に通う小学5年生の少年。能代のファーストインパクトに気圧されなかった数少ない一般人である。

「で?用は?」

「いたたたたっ」

「おい、怪我してるのか?」

 クレスが急に悲鳴をあげたので、能代は電話を耳にぎゅっと押しつけ、注意深く耳を澄ました。さきほどから背後でタイヤの音が数回通り過ぎて行ったから、車通りの少ない道路近くにいるのだろう。

「爪で引っかかれて…」

 女か?

 と、オヤジ向きの軽口が出かかったが声にするのはやめる。本当に痴情のもつれだったらこっちがげんなりしてしまう。

「迷い猫を拾ったんです」

 クレスの言葉に呼応するかのように、電話口でニィとかすかな鳴き声がした。

「それで飼い主を探して欲しくて…」

 うぉい!

 能代は腹の中で吠えた。

 オレの携帯ナンバーはいつから「市民なんでも相談窓口」の代表番号になったんだ?

「いまどこにいる?」

「来てくれるんですね?」

「最寄の交番と保健所の場所。どっちを教えて欲しい?」

 ぴょこぴょこ跳ねたチワワがぐっと息を詰まらせた気配があった。ムッとした声でクレスは言い募る。

「…そんなのはぼくの携帯のGPSからでもわかります」

「なら生活安全課に回すか?」

「ぼくは能代さんに探して欲しいからこの番号にかけたんです」

「うぉい!」

 今度は本当に吠えてやった。すれたチンピラでも震えあがるほどの迫力を持つ咆哮だ。

「オレの職業は何か、言ってみろ」

「警視庁捜査一課の刑事さんです」

「わかってるじゃねえか。オレはド暇な私立探偵じゃない」

「はい。だから、能代さんにお願いしているんです」

「あのなあ…」

 能代は渋面を作り、爪先で軽く机の脚を小突いた。クレスには自分の主張が通るまで何度でも話を戻そうとする妙に頑固な面がある。押し問答が面倒になって周りを見渡すと戸坂班長が倒壊寸前のファイルタワーの隙間からこっちに秋波を送ってきているのに気づいて目を逸らした。

 前門のニワトリ、後門のチワワ、か。どっちもケンケンと…。

「そんなにその猫が心配なら、飼い主が見つかるまでお前が預かればいい。でかい家に住んでるんだろ?」

 するとクレスは、能代の心の天秤を一気に傾けさせる、とんでもないことを言い出した。

「ぼくが心配しているのはこの猫の身の上じゃありません。飼い主のほうです」

「どういう意味だ?」

 能代の声色が鋭くなる。定規を入れられたみたいにピシリと背筋を伸ばしていた。

「この猫の飼い主は現在危機的状況にあると思われます」

「先にそれを言えっ!」

「だって、先を言わせてくれなかったじゃないですか」

「確かなんだろうな?」

「はい。ぼくがそう思う根拠は電話では説明し切れませんが、この猫の飼い主は現在、自由に行動することのできない状態を強いられていると思います」

「いま、どこだ?」

 能代はすでに立ちあがって、椅子の背にかけてあった背広を抜き取っていた。即断即行動が能代の信条だ。

「理由は会ってから聞いたほうが早いんだろ?」

「はい!」

 チワワは張り切った声で現在地を説明した。走り書きの割に角のきちんと曲がった字のメモを背広のポケットにすべりこませ、電話を切った。

チワワの苗字は昨年の設定では「千輪宮」だったが、よりチワワに発音の近い名前にした。「千輪田」にするか「千輪那」にするか、まだ迷っている。名前だか苗字だかわかんないのは好みでない。能代監物も個性が出すぎているし。身長191センチは大きすぎるかねえ。

| | コメント (2)

« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »